内藤クリニックへようこそ
内科、小児科、外科、皮膚科、耳鼻科など受診科にかかわりなく、お子様の上手な受診のしかたを伝授(?)します。

小児受診の5か条

▼第一条  病気のお子様を、病状を一番知っている人が受診する

「自分で自分の病状を説明できる」のであればいいですが、そうでない場合には、特に乳幼児の場合には、お子様の様子を一番よく知っている人が連れてきて下さい。誰かに頼むのであれば、症状やその経過、お薬をいつ飲んだかなどを書いたメモを持って来てください。
病医院を替わられる時は、診療科を問わず、いわゆる紹介状(診療情報提供書)があれば、より多い情報をもとに、正確な診断と適切な治療に役立ちます。診療情報提供書を希望される場合には、ご遠慮なくお申し出ください。

▼第二条  受診の際に持って来ていただきたいもの
保険証、各種医療証はもちろん、母子手帳をお忘れなく。再診の方は診察券を。

(1) 熱がある時には、熱と解熱薬使用状況、あるいは熱を記録したグラフなど。
(2) 吐いた物や便がおかしければ、その物(吐物、便やおしめ)を。
(3) 他の病院や診療所でもらっておられる薬があれば、そのお薬や説明書を。特に、粉薬や水薬は外見では内容がわかりませんので、「薬の説明書」を持って来てください。
(4) 哺乳ビンや新しいおしめも忘れずに。
(5) 大抵の子供さんは「医者ぎらい」です。病院に馴れていない子供は恐怖心から泣きます(ポジティブに言うと、「感受性が高い」だけですが・・・)。お気に入りのおもちゃ、ぬいぐるみや絵本などで気が紛れるのであれば、
それらを持ってきて下さい

▼第三条  受付・待合室での作法?!
不安なことがあれば、ご遠慮なく受付や看護師にご相談ください。病状がすぐれない時や緊急の場合には、診察の順番を繰り上げて診療します。また、ベッドで休んで診察を待つこともできます。

(1) 診察直前には、食べ物や飲み物をあげないで下さい。吐き気の強い、あるいはお腹が痛い場合には、スタッフにご相談ください。洗面器などをご用意します。
(2) 受付の後で「問診票」をお書きいただきます。小児の場合、身長や体重は大事な情報になります。わからない場合には測定しますので、スタッフに仰ってください 。
(3) お家で熱を測られた場合には、その結果を問診票に書いてください。診察待ち時間に、おしっこ」をもよおしたら、受付にお知らせください。

▼第四条  診察室で教えてください 聞いてください
問診票で問診が終わったわけではありません。診察室で、色々なことを質問させていただきます。

(1) 一番、気になる症状は何ですか?
(2)いつから始まり、どんな経過ですか?
(3) 随伴症状はありますか?(「あるもの」も「ないもの」についてもお尋ねします)
(4) 市販薬や医師から処方されたお薬のこと、内服状況は?
(5) これまでの発育歴、過去のご病気のこと。
(6) これまでのワクチン接種の有無と時期。
(7) 成人も含めて、ご家族に何か病気がないですか?

全てを聞くわけではありませんが、Question & Answer式に対話が進みます。診察前にまとめておいて頂くと、要領のよい会話になり、診断・治療に大きな助けになります。医師をはじめとするスタッフの説明に疑問なことがあれば、恥ずかしがらずに遠慮なくご質問ください。
病医院にかかって「治してもらう」病気はありません。病気を治すのは「患者様ご本人」であり、医療や看護・介助は病気の治癒を促しているだけですから。

▼第五条  「お大事に・・・」、そしてお家で
(1)お薬
子供さんの受診はほとんどが急性疾患ですから、このような場合には、お薬は長くとも3〜4日分しか処方いたしません(もちろん、慢性疾患はべつですヨ)。お薬は、医師あるいは薬剤師に指示されたとおりにご使用ください。お薬に関する疑問がある時は、勝手に止めたりせずに、お電話で結構ですから「かかりつけ薬局」あるいは診察した医師にお尋ねください。市販薬と医師の処方薬との併用は厳禁です。また兄弟・姉妹間であっても「お薬の貸し借り」もいけません(医師は、原則的に、体重や体調を見極めて処方しています)。

(2)症状の観察
お家では、症状や病状の推移を良く観察しておいて下さい。熱型表(熱をグラフに書く紙)を渡されたら、一日最低2〜3回は体温を記録しましょう。熱型表に症状や内服状況を書いておくと次回の診察に大いに役立ちます。

(3)次の診察日
特に指示がない限り、次の診察はお薬がなくなった日で結構です。
「風邪薬がなくなったから、もう2〜3日分お薬下さい」とご家族の方が来られることがありますが、できるだけご本人を連れてきて下さい。

(4)急を要する場合の対応
● 2〜3日治療したが、一向に良くならない
● 別の症状が出てきた
● 急激に病状が悪化してきた

このような場合には、直ぐに再診させてください。診察時間外にも対応したいと思っておりますが、夜間や休日の場合には「休日・夜間急病センター」などをご利用ください。それでも診てくれる所がなければ、119にお問い合わせいただくことになります。

救急時にはきっとあせっておられると思いますが、もう一度この五か条を思い出して、冷静に対応しましよう。

子どもの急病

 

子どもの発熱

 

▼子供の体温
子供の平熱は大人より少し高く、37.4℃位までは平熱と考えてかまいません。子供の体温は外気温(夏と冬)や体の状態(泣いた後、睡眠の直後や運動した後など)によって左右されます。一日の中でも朝は低く、夜は高くなるのが普通です。電子体温計が汎用されていますが測定誤差もあり、「変な体温」が出れば複数回測定しましょう。耳で測定する体温計も市販されていますが、標準的には水銀体温計で脇の下で5〜8分間、測ってください。

▼熱が高い時
「熱が高いと頭がパーになりませんか?」と心配されるお母さんがいらっしゃいますが、40℃位までは熱だけで脳にダメージが来ることはありません。熱の高さと病気の重症度とは関係がありませんし、随伴症状の有無や程度により重症度は異なってきます。

それでは、発熱以外にどんな症状があった時、心配するべきでしょうか?
1)ぐったりとして意識がおかしい。頭痛がひどく、吐く。けいれんを伴う。
2)38℃を超える熱が4〜5日以上続く。
3)ゼロゼロと痰がからんだ咳をする。喉や胸がヒューヒューいって息が苦しい。
4)声がかすれて、喉がヒューヒューなっている。
5)体に発疹(ほっしん)が出る。
6)頻回の下痢、嘔吐が激しく、水分も摂れない。
7)6か月以下の乳児で熱が高い。熱が下がらない。

これら以外にも心配しなければならない状況は色々ありますが、
●鼻水や軽い咳くらいで、熱以外にあまり症状がない。
●熱が下がれば元気にしているし、食欲がおちていない。
●食事や水分が十分に摂れている。

これらがすべてあてはまる場合には、そう心配することはないと思われます。

▼熱のある時の看病
1)寒いおもいをさせない
「さむけ」のある時や「寒い」と言って震えている時には、暖かくしてあげて下さい。熱が出て熱そうにしている時は、頭を冷やしましょう。冷やすのは首から上だけで十分です。発熱で汗をかいて下着が濡れている場合は、早めに着替えさせて、決して寒いおもいをしないように。

2)食事は
熱がある時は体から水分が出て行ってしまいます。胃腸の働きも低下しています。特に下痢や嘔吐がある時は脱水(「嘔吐と下痢」の項目をご参照ください)になりますので、お茶やスポーツ飲料などを冷やさずに(室温で)、少しずつこまめに摂らせてください。

3)日本人はお風呂好き
熱のある時、お風呂は避けてください。解熱してまる一日以上経ってから入浴しましょう。お風呂に入りたがる場合や、顔や手足が汚れている時には、少し熱い目のお湯で顔や手を洗うか、足浴する(熱い目のお湯に足を10分間くらいつける)と気持ちの良いものです。ただし、その後は十分に保温し、手足を冷やさないように。

4)部屋の温湿度と外出
冬に風邪が流行る理由として、「外気温の低下=寒さ」と「乾燥した空気」が挙げられます。冷たい乾燥した空気が鼻や喉の粘膜に悪いからです。風邪の時は、室温の保温と保湿にご留意ください。エアコンのみによる暖房の場合には、ヤカンで湯気を立てたり、加湿器などにより、適度に加湿した方が良いでしょう。

医療機関を受診するなどで外出する場合には、マスクなどにより乾燥した冷たい空気を吸わないようにご注意ください。

▼お薬
処方されたお薬は医師や薬剤師の指導どおりに使用してください。
子供は常に成長していますので、半年以上経った古い薬は使わないほうが無難です。お薬に関するご質問は「かかりつけ医」あるいは「かかりつけ薬局」にお尋ねください。

  子どもの嘔吐と下痢
 
▼子供の嘔吐と下痢
原因として最も多いのはウイルス性胃腸炎。いわゆる「お腹にくる風邪」です。大人も感染します。
ここでは、嘔吐や下痢をきたす病気の一つ一つを説明するのではなく、一番頻度の高い「急性ウイルス性胃腸炎」による嘔吐と下痢について、またそれらの看病についてお話しいたします。

▼嘔吐
嘔吐は、「食べたり飲んだりした物」を胃が拒絶している反応です。ほとんどが機能的な逆蠕動(胃→食道→口)によって起こります。食後に毎回、噴射上に吐く時は消化管の狭窄や閉塞が起こっている可能性がありますが、稀です。
子供さんが嘔吐する時は、顔色が蒼白あるいは青くなり苦しそうに吐きますので、見ていても気持ちの良いものではありません。しかし、急性ウイルス性胃腸炎などの機能的な嘔吐では、吐いてしまえば結構、楽になるようです。
嘔吐した後、のどが渇いて水分を欲しがる場合には、吐いてから約1時間以上あけて、幼児はスプーン1さじ、小児は一口だけ、白湯、湯冷ましや冷たくないイオン飲料を飲ませてください。吐かなければ、約30分以上経ってから少しずつ量を増やしましょう。「少しずつをこまめに」が原則です。一度にたくさん飲ませると胃が張って(炭酸飲料は厳禁)、かえって吐いてしまい、逆効果です。なお、吐き気が残っている時に母乳、ミルクや乳製品はよくありません。

▼下痢
下痢の時、まず気をつけて頂きたいことは「どんな下痢だったのか?」、下痢便をよく観察しておいて下さい。血便、粘血便(粘液の混じった血便)、白色便、食物が全く消化されていない便などであれば、それを医師に見せてください。
「飲ませると下痢をするので、飲ませない」は逆効果で、むしろ危険です。特に発熱時には発汗により水分が失われていますし、真冬に流行するロタウイルスによる胃腸炎では白い水のような便が続いて水分補給が追いつかなかったり、嘔吐を伴ったりで、あっという間に「脱水」(後述)になることがあり、要注意です。
下痢の激しい時は湯冷ましや薄めた番茶を、治まってくれば重湯、おかゆや柔らかく煮たうどんなどにアップして下さい。飲ませ方・食べさせ方は嘔吐の時と同様に、「少しずつをこまめに」あげて下さい。乳製品、脂っこい物、消化の悪い物、香辛料を多く含む物、なま物などは避けましょう。

▼脱水について
吐くと「脱水になりませんか?」と心配される方がおられますが、2〜3回吐いただけでは、そんなに強度な脱水にはなりません。むしろ心配されるのは、下痢です。
下痢は、口から入った水分がただ単に便として出るのではなく、健康な時には水分の吸収に機能している大腸粘膜がその働きを止め、逆に粘膜から水分を過剰に分泌し便中に排泄します。したがって、下痢にプラスして悪心・嘔吐で水分が取れない場合、脱水の進行が心配されます。

 それでは、脱水の兆候は・・・
●やたらに「水分を欲しがる」
●唇が乾き、カサカサになる。
●口の中が乾いている。
●皮膚が乾燥し、皮膚の張りがなくなる
●おしっこがやたらに濃い。おしっこの量が少ない。
などが挙げられます。

口から十分量の水分を取れない場合には、点滴などの治療が必要になりますので、脱水の兆候が見られた場合には、はやい目に医療機関を受診しましょう。
受診の際は、発熱の有無や程度、症状の推移、飲んだ水分量や下痢・嘔吐の回数をメモして教えていただくと、診断や治療の上で、大変助かります。


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